約80%が再利用品!見た目にも美しいコンテナハウス「Infiniski’s sustainable house」
あなたは環境に優しい家、と聞いてどんな建物を思い浮かべるだろう?
どうしても、自然の中に佇む、ちょっと地味で質素な家を思い浮かべてしまうのは私だけではないはずだ。そんなイメージを覆すのが、スペインのマドリッドと、チリのサンティアゴにオフィスを構える設計事務所、Infiniskiがデザインした輸送用コンテナを利用した建物だ。
斬新なデザインで、開放的な雰囲気のあるこのコンテナハウス。変わった外観が特徴的だが、実は、フォークリフトの「パレット」を再利用している。パレットとは、フォークリフトが荷物を運ぶとき、ツメをかけるスノコのような荷台のこと。イメージが沸かない方も多いと思うので、あえておしゃれではない画像で紹介したい。
建物の外観に設置されたパレット、実は一部が開閉するように設計されており、寒い冬場には開いてコンテナの金属面に直接日光当て、室内に太陽の光と熱を取り込むことができるよう配慮されている。夏には閉じて、家を涼しく保つことができるのだ。
この建物の秘密は、外観がリサイクル原料からできている、ということだけではない。
実は、この建物自体、約80%が再利用、再循環、無公害の原料からできている。土台になっているコンテナはもちろんだが、建物の素材には、外観で使われたフォークリフトのパレットの他にも、線路や古い瓶まであるという。
「それは、地球規模の気候変動のためではない。目の前にある、皿の上の食べ物をそのままにしておくことができないからだ」
これは、この建物の設計事務所、Infiniskiが掲げるモットーだ。壮大な未来のためではなく、目の前に直面した問題をなんとかしたい、という思いから、彼らの仕事に対するこだわりが感じられる。
彼らは、コンテナハウスを使い、「早く、安く、より良い」をテーマに、数多くのプロジェクトを手掛けている。利用するコンテナの種類は、スチール製のものから、海上用の輸送用コンテナ、木製のプレハブなどさまざま。これまで、戸建住宅だけでなくビルやホテル、オフィスなど、幅広い建物を“コンテナハウス再利用”というコンセプトのもとで実施してきた。そんな、コンテナの再利用のプロフェッショナルである彼らが扱う製品の中には、8週間で建設が可能な住居用のプランもあり、どれもデザイン性に優れたものばかりだ。コンテナハウス=画一的なデザイン、というこれまでの概念を良い意味で裏切ってくれる。
実際、今回紹介した建物も、90日間で建設されたもの。1階の2つに分かれたコンテナの間を2階部分のコンテナが橋渡しすることで、建物の内部は160㎡の面積を確保することができている。
この建物の、配送料なども含む総建設費は約1300万円。広さは160㎡のデザイン性に優れた環境に優しいコンテナハウス。Infiniskiが提案する自由なデザインの建物は、新しいコンテナハウスの可能性を感じさせてくれる。